文化財化・世界文化遺産化
Patrimonialização
カポエイラの文化財化・世界文化遺産化について、形骸化した伝統にカポエイラを転換させる懸念などが指摘されましたが、苦難の歴史を乗り越えてきた民衆文化を"保護"する目的として、カポエイラは2008年にブラジルの無形文化財に、2014年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。
平和コンサート Concerto da Paz
2004年にスイスで国連が開催した平和コンサートでは、当時のブラジル文化大臣ジルベルト・ジル(Gilberto Gil)はカポエイラについて「言葉の壁を越えて、人種や信仰を問わず、暴力を友愛に変え、ソーシャル・インクルージョン(社会包括)を促進する力を持ち、不平等を解く鍵である」と熱く語りました。この出来事によってブラジル政府は積極的にカポエイラの発展に取り組むと宣言し、カポエイラの文化財化のきっかけとなりました。
平和コンサートに著名なカポエイラのメストリ(師範)や日本を含む世界各国から招かれたカポエリスタ(カポエイラ使い)によるパフォーマンスが行われ、ブラジル文化省はその模様を収録したドキュメンタリー『Capoeira - Paz no Mundo』(仮訳:カポエイラ 世界に平和を)を2007年に公開しました。
無形文化財 Patrimônio Imaterial
ブラジルの無形文化財制度(Programa Nacional do Patrimônio Imaterial)[1] は2000年に始まり、「Saberes」(知的財産)・「Celebrações」(祝典)・「Formas de Expressão」(文化表現)・ 「Lugares」(地域)の4つのカテゴリーに分けられ、2019年までに48件が登録されました。2006年と2007年に国立歴史美術遺産院 (IPHAN)がカポエイラについて幅広く調査し、[2] 2008年に【Ofício dos Mestres de Capoeira】(カポエイラのメストリの役目)[3] は《知的財産》に、【Roda de Capoeira】(カポエイラの輪の集い)[4] は《文化表現》として、カポエイラは2つのカテゴリーでブラジルの14番目と15番目の無形文化財に登録されました。
Mestre João Pequeno, Intagible Cultural Property recognition ceremony. Salvador, 2008.
無形文化財登録に伴い、カポエイラの保護活動として、年老いたメストリの特別社会保障や国際報奨プログラム、ビリンバウの木材であるビリーバの保全などが計画されました。しかし、カポエイラの近代化を成し遂げたメストリ・ビンバ(Mestre Bimba)やメストリ・パスチンニャ(Mestre Pastinha)が貧困の中に取り残されたように、カポエイラを守り続けてきた多くのメストリは今でも何の社会保証も受けられず、歴史が繰り返されようとしています。
記念切手 Selo Comemorativo
カポエイラの無形文化財登録を記念して、2009年にブラジル郵便電信公社(Correios)は特殊切手「Roda de Capoeira e Ofício dos Mestres de Capoeira」(カポエイラの輪の集いとカポエイラのメストリの役目)を特別発行しました。デザインはカリベの作品『Vadiação』(1965)が使われ、鮮やかな色彩は陽気な雰囲気を表現し、ストリートで行われていた昔ながらのカポエイラのホーダが描かれています。[5]
世界無形文化遺産 Patrimônio Cultural Imaterial da Humanidade
カポエイラは「多面的なアフロブラジル文化活動として、格闘技でもあり、舞踏でもあり、伝統やスポーツ、さらには芸道とも言い現わすことができて、ホーダ(輪の集い)では反骨精神が歓迎され、仲間意識やアイデンティティーの確立が促される」などの理由により、2014年にユネスコは【Capoeira Circle】(カポエイラの輪の集い)を無形文化遺産に登録しました。[6]
ユネスコの無形文化遺産として2019年までに9件のブラジルの無形文化財が登録されており、2008年に初めて登録された【Samba de Roda of the Recôncavo of Bahia】(バイーア州・レコンカボ地域のサンバ・ジ・ホーダ)と2012年に登録された【Frevo, performing arts of the Carnival of Recife】(レシフェ市のカーニバルの大衆芸能フレーヴォ)のどちらも、後から登録されたカポエイラと深い関係があります。
サンバ・ジ・ホーダはカポエイラと一緒によく行われ、多くの歌も共有されることから"姉妹同士"であると言っても過言ではありません。フレーヴォに関しては、カポエイラの蹴り技が振り付けのステップ(passo)に発展したと言われており、レシフェ市でも古くからカポエイラが盛んに行われていた痕跡とされています。
脚注 Notas
IPHAN: Patrimônio Cultural > Patrimônio Imaterial > Bens Registrados
IPHAN: Dossiê Inventário para o Registro e Salvaguarda da Capoeira
UNESCO: Culture Sector - intangible heritage - Capoeira circle